忍者ブログ
葛飾区自転車店(サイクルショップ)ウッドハートスポーツは自転車とカヌーのお店です。足立区墨田区江戸川区八潮市三郷市からも近い下町の店。サイクリング、カヌースクール、ラフティング実施中
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

ゴムゾーリで漕いだ! 歩いた!
無手勝流チャリ旅
『北海道の輪郭をなぞる旅 』後編
04.7.27〜8.19(7/26出発 8/20帰着)

obj127_1.JPG

[11日目]
8/6  天塩〜稚内〜猿払(道の駅キャンプ場)200円
     142.9km 1,320.3km
さてさてサロベツ原野である。クルマで走ったことがあるが、そーとー退屈したもんだ。チャリではどうなんだろう。なにしろ60数kmに渡り、なぁんにもない。人の気配もない、電信柱もない、クルマもまばらだ。あるのは整然と立ち並んだ何十基もの風力発電用の風車だけである。しかし、心配していた風はなくすんばらしい青空だ。海に浮かぶ利尻富士の姿がよく見える。稚内まであと20kmぐらいの地点で一人のワカゾーに出会った。札幌と手書きした紙を掲げたヒッチハイカー。チャリで近付き大真面目な顔して、乗るかい? というと彼は「でも、ああ、ううう」と口ごもり、数秒後二人で大笑い。ヒッチすんなら国道かトラックターミナルへ行けといったら、はじめて捕まえたクルマがこの内陸にある豊富町へ向かうクルマだったので、ここで降ろされたという。礼文島帰りらしい。乗るクルマを間違えとる。ちとアドバイス。この地点で行き先が札幌はないぜ、ここを走るクルマが必ず通過する(だろう)天塩か遠別あたりにカンバンを書き直せ。乗用車より一人運転のトラックを狙え。なかなか停まらないようだったら、ちと強引だが道の真ん中に立ってアピールしろ。ま、こんなとこである。なにしろ昔むかし、おれはヒッチでヨーロッパ8カ国を駈け廻った筋金入りだ。がんばれワカゾー。

◆日本のてっぺん宗谷岬といえど特別な感慨はない。ここでBE-PALの取材にとっつかまる。断ったのだが編集者もしぶとい。仏頂面で答えていたが、おれの話の何が面白いのか、コンビニ弁当を食らいながらのおれの豪華ランチタイムをさんざ邪魔しやがって。仮テーマは『日本最北端に辿り着いた旅人たち』だと。このイージーさはさすがBE-PALだ。何十年前のテーマだっつうの。発売号も聞かずに出てきちゃった。ま、おれが掲載誌を目にすることもないだろう。 ◆今度はオホーツク海が左手に広がる。つい先程までの日本海とは海の色が違うようだ。オホーツクの方が青が濃い。大きくうねりながら続く道、この辺りこそThe Hokkaidoooというライダーも多い。先の先のアップダウンまで見渡せる道ってのはチャリダーにとっていいのか、悪いのか。 ◆宗谷から走り出して1時間くらい、おれは登りでひーひー漕ぎ、すれ違うチャリダーは下りでびゅんびゅん漕ぎ。と見たことのある顔。お互い同時に急ブレーキをかける。長万部で会い、おれとは逆方向へ向かったチャリダーだ。嬉しい再会。やつは保安ベストを着ている。「教えてもらってよかったです。トンネルじゃなくても着てます。やっぱぶっ飛ばしてるクルマは恐いや」という。記念写真をとり、握手して別れた。あ、名前を聞くのを忘れた。長万部青年としとこう。 ◆猿払(さるふつ)のキャンプ場に中学2年13才のチャリダーがいた。おれよりほんのひと足早く到着したばかりの東京の假屋 岳(かりや・たける)くんだ。苫小牧からおれとは逆方向に走り、宗谷岬からは一気に南下する予定という。クラスでは一番のチビだというが、ガッツはそんじょそこらの大学生顔負けだ。 ◆もう一人チャリダーが現れた。30代だろう。走行ルートを聞いてみると仮屋くんとほぼ同じ、でも假屋くんのペースに負けてる。なさけねー。 ◆三人で風呂に行き、一人(おれ)は酒を飲み二人は牛乳を飲む。いい夜だ。

[12日目]
8/7  猿払〜枝幸〜興部(道の駅トレインハウス)無料
     136.5km 1,456.8km
この頃、ふと思う。こういう旅を続けていると昨日のことがなかなか思い出せないのだ。一昨日のことなんか過去の彼方だ。へたすると今朝どっからスタートしたんだか、その日の夕方頃あいまいになるようなことさえある。次々に新しい出来事が生まれ、続々と新しい出合いがあるんだから当然といえば当然か。メモは欠かせないが、書き留めることを怠った出来事もうんとある。こんなことを考えながら走って道の駅(マリーンアイランド岡島)に着く。ちょい遅れてチャリダーが入ってきた。静岡発日本一周中の磯辺くん。チャリにへんてこな楽器らしきものがくくりつけられてある。聞くとカンカラ三線(かんからさんしん)といい、沖縄民謡の弾き手から教えてもらい手作りした三線だという。弾いてみてくれというと「いいっすよ」と沖縄民謡を奏でだした。へぇぇ、たいしたもんだ。沖縄から北海道までずっと稽古しながら旅を続けているという。「先日、稚内のラジオに出て弾いて歌っちゃいました」という。友人がへんな日本一周さんということで夜の若者番組に推薦したらしい。おもしれーな。

◆途中、磯辺くんにスパッと抜かれる。彼がコンビニに寄ってる間にわしわし抜き返す。興部(おこっぺ)におれより20分遅れで到着した彼は「兎と亀のかけっこの話、あれですね。世の中ナメちゃいけないな」とぬかす。人生そんなもんだ。 ◆興部の道の駅では祭りの準備がすすんでいる。おれがチャリで到着したのを見ていたおっさんが「ビールどうだい?」という。祭りの世話人らしい。一息で飲み干すともう一杯サーバーから注いでくれる。うまっ。通過か泊まりかと聞くので、トレインハウス(本物の客車を利用した無料宿泊施設)泊まりですといったら、「地場もんのソーセージだ」とつまみまで出してくれた。サイコー。 ◆もう一人、日本一周くんが登場。埼玉発の竹下くん。彼はおれのことをおとーさんと呼ぶ。つられて磯辺くんも同じように呼びだした。おとーさんか、おじさんよりいいな。 ◆道内ちゃらちゃらチャリダー堀江くんもプラスになった。チャリダーが4人も揃うなんてはじめてだ。 ◆夜、ここに泊まるチャリダーたちと風呂に行き、祭り(前夜祭)を見物する。トレインハウスに泊まる旅人にも平等に一人頭400円也の金券が振る舞われた。ここの祭りの習慣だという。即ビールに化けた。 ◆花火がよかったな。頭上ではじけるピュードドンを見たのは久しぶりだ。田舎とはいえ、けっこー派手な打ち上げ花火だった。祭りは10時頃まで続き、振る舞いビールも随分いただいた。 ◆いいことだけで一日が終わればいいが、そうもいかない日もある。宿泊場となってる改造客車の窓が全部空いてる。若い血がごろごろ寝てるもんだから蚊も元気になる。おれにまで攻撃をしかけてきやがる。眠れないまま夜は更けていく。

[13日目]
8/8  興部〜湧別〜網走(呼人浦キャンプ場)無料
     138.6km 1,595.5km
結局、ほとんど眠れないで夜が明けた。竹下くんも眠れなかったようだ。「おとーさん、無神経ってのもチャリダーの条件だとしたらおれたち失格っすね。デリケート過ぎる」という。ほんとにそうだな。それぞれ逆方向へ、同時に出発進行。今朝も朝日がきれいだ。日本海側では山から、ここオホーツク海側では海から日が昇る。北海道を走っていることを実感する。清々しい朝だが寝不足は致命的だ。やっぱ走りながらも眠くなる。前にも一度経験しているが今回はハンパじゃない。チャリの居眠り運転なんて信じられないかもしれないが、ほんとにあるのだ。湧別(ゆうべつ)あたりで強烈な眠気が襲い、危うく道路下へ転落しそうになる。こりゃヤバイと近くのバス停(北海道のバス停は小屋作りになっていて扉や窓や中にはベンチまである)を借りて仮眠する。サロマ湖の湖畔沿いの窪地でもひと眠りしようと思ったが、クマ出没注意の看板があり7月22日目撃情報アリと手書きされてる。リアル!! こんな所で昼寝なんぞしていられない。そそくさと漕ぎだす。

◆能取湖からオホーツク・サイクリングロードが30km以上網走まで続いている。昔の鉄道線路跡を利用した走りやすいロードである。湖の青と樹海の緑のなか、おれは夢心地になる。クルマがいないとわかると、なお眠くなるのだ。また仮眠。今日は一日中アップダウンと睡魔という2大強敵との闘いだ。絶好調時にこのロードを走りたかったな。 ◆網走に入り食料調達にセイコーマートに立ち寄る。すると、いきなり夕立ちである。手にしていたカゴをレジに放り投げチャリを小さな軒先に入れ、4バッグにカバーをかける。ほとんど意味がないけど。空を見上げると、この上空にだけ真っ黒な雲がかかり周辺には青空が見える。店員が「ごゆっくりどーぞ」というので店内でパンとバナナを立ち食いして雨が上がるのを待つ。じきに止んだ ◆呼人浦キャンプ場までたった2km、キャンプ場に着くと路面も芝も全く濡れてない。ソロライダーがおれのびしょ濡れのチャリとバッグカバーを見て「どこでやられたんですか」と聞く。すぐそこだと答えると「じつは今日、おれもこの内陸でやられました」という。夕立ちはライダーにもチャリダーにも容赦しないのである。 ◆昨日までおれの両膝には常にサポーターを巻いていた。今朝、寝不足のぼぉっとした頭でスタートしたものだから、それを付けるのを忘れていた。けど膝は全然痛くないし、なんかこの方がさっぱりしてて快適だ。明日も付けないまま走ってみよう。 ◆とんでもなくきれいな星空である。きれいというか美しいというか、北海道の夜空にはリンとした凄みさえ感じる。おれはコンビーフを丸かじりしながらバーボンをやる。大人のメルヘンだぁ。
知床峠.JPG

[14日目]
8/9  網走〜知床峠〜羅臼(羅臼町営キャンプ場)無料
     120.7km 1,716.2km
今日、知床峠を越えるかどーか、はっきり決めないままスタートする。でも起きがけにとりあえず峠越えに備えてチェーンにオイルを吹きかけブレーキを調整をした。10時前、オシンコシンの滝に到着。駐車場は観光バスで満タン状態だ。とミニベロにトレーラーを付けたチャリを発見。おれが熱心に見てると外人が現れた。彼に日本語は何も通じない。おれに英語はほとんど通じない。けど、これはアメリカ製でスーツケースをそのまま取り付けられてグーだと、ここまでは理解できた。トレーラーの取り付け位置がダウンチューブの中途半端なところにあり、こんなんで耐久性はどうなんだろ。案の定、知床峠はパスだという。おれはウトロで作戦タイム。観光案内所でまず天気予報を聞く。キャンプ場の情報も仕入れる。今日明日とも知床は晴れ、キャンプ場と風呂は有料。峠を越えた羅臼の方が条件はいい。めざす北海道一筆書きの旅からちと外れるが、知床五湖には行きたいな。けど、この道はチャリダーの間でパンク街道とも呼ばれている。ダートであり、ホタテの殻を砕いたものがまいてあり、パンク覚悟で走ることになる。網走からここまで既に80km走っているが、一気に知床峠を越えようと決める。

◆知床峠は海抜0mからはじまり720mぐいぐい登る。最初の5kmはなんとか漕ぎ通した。きつい登りだ。それを過ぎるといったん勾配はゆるやかになるが長い、これがしんどい。ついつい押してしまう。漕いでは押し、押しては漕ぐの繰り返し。すべてチャリにまたがったまま登りたかったが駄目だったなぁ。 ◆よたよた漕いでいた。おれをグワンと追い抜いたバイクが50mほど先で急停止した。ゆっくりこっちに戻ってくる。メットを脱ぎながら「やっぱり」という。大成の道の駅で会い、岩内で再会した安成くんだ。ほんとびっくり。あの街とは真反対の峠で何日ぶりの再再会になるんだ。一服。「羅臼の下の方の町営キャンプ場に来ませんか」という。連泊しているようだ。そのつもりだった、もちオッケー。帰って釣りに行くから、旨い魚をゴチすると腕をさする。オッケオッケー。 ◆知床のてっぺんまで最後の登りも急だった。途中のフテ寝の時間も含めて2時間50分もかかってしまったな。 ◆やっとこさっとこ展望駐車場に着くと二人のチャリダー。中年のご夫婦である。「どのくらいで」と聞くので、恥ずかしなが3時間を少し切っただけと答える。「私たちは4時間強かかってます」だと。おれはせめて2時間半を切りたかった。明日朝、ウトロから出発すべきだったか。 ◆下りは、下るというより落ちる感覚。16kmの区間を時速55km、たっぷり(というか、たったというべきか)20分。こんなに気持ちいい下りは関東付近ではまず体験できないぜ。 ◆熊の湯は羅臼の寸前にある無料の温泉。川そのものが温泉である。野趣満点。知床の汗を洗い流す。 ◆膝のサポーターなしで問題はなかった。よし、明日からもこれでいく。 ◆町営キャンプ場に着いたとたん、いきなり雷雨。狭い炊事棟にキャンパーが集まり雨宿り。 ◆安成くんの釣果はなかなかである。2時間程度でカレイ6匹、その他合わせて11匹。釣りはトーシロだと胸を張る。うまそー。ここに数日連泊してる男が地元の漁師からいただいたという鱒と毛ガニがあり、みんなにもお裾分け。鱒はチャンチャン焼き、カニは茹でて、たっぷりゴチになる。

[15日目]
8/10 羅臼〜標津〜根室(RHインディアンサマーカンパニー)1,000円
    150.4km 1,866.6km
朝一、テントを出ると仰天である。テントとテントの隙間で1頭の大鹿が草をはんでいる。カメラを持って近付いても逃げない。野性の王国である。北海道のキャンプ場に慣れたら富士の周辺なんて屁だな。すごすぎる。今日は朝の体調次第で行動予定を決めようと思っていた。峠越えの後遺症があるようだったら連泊しようと思っていた。天気予報は明日からくずれるというし、脚もまずまずだ。今日も行動を決定する。霧である。標津(しべつ)に入った頃、3頭の親子鹿が霧にかすむ国道に現れた。幻想的。カメラを取り出したが、対向車線から車の音が聞こえ、逃げちった。惜しい、いい絵だったなぁ。別海あたりは、この旅で1、2という殺風景な風景が続く。家もない、店もない、牛は点景で見えるが人なんかいない。あるのは樹海と規則的に現れるアップダウンとおれの影だけである。時折すれ違うライダーもよほど暇とみえて、オーバーなアクションでがんばれサインをおくってくる。他のチャリには全く出会わない。えっさ、えっさ、えっさほいさっさ、おやじのチャリ乗り、ほいさっさ・・・を歌うのも飽きてくる。ボロぉは着ぃててもぉ心の錦ぃ、どんな花よりきれいだぜぇぇ、この夏は二度ない(若いときゃ二度ない)、どぉんとやれ、おぉやじぃなぁらぁぁぁぁぁ(男なら)、人のやらない(やれない)ことをやれぇぇぇ・・・も飽きてくる。

◆根室の無料キャンプ場をめざすも、明日の早朝には着きたい納沙布岬からかなり遠い場所にある。空を真っ黒な雲が覆ってきた。急遽、ロードマップを見てRHインディアンサマーカンパニーに避難することにする。食料調達に寄ったコンビニに入るや、またも夕立ち。3日連続である。しかし、網走と同様コンビニに入ってるときのことで濡れずにすんだ。ついてるぜ。 ◆インディアンサマーカンパニーの宿泊料は千円である。けど宿泊者にもれなく茹でた花咲ガニが一匹サービスされる。だからRH側は宿泊無料であるというのだ。けど、昨日羅臼で食った毛ガニに比べたら、ハナタレガニなんて話にならん。カニは毛ガニかタラバに限る。 ◆太ったあんちゃんがおれの顔を見るなり「わぁぁ、嬉しいなぁ、来てくれたんだ」という。誰だ、何事だと思ったら、根室の道の駅の手前で車の中からおれにがんばれサインをおくったドライバーだという。そういえば、誰かちゃっこいクルマの中からぶっとい腕をぶんまわしていたのを思いだした。ここの従業員(本来は水産会社、RHは夏季限定営業)だったんだ。どもども、その節は。 ◆でっかいライダーハウスだ。ごろ寝用の大広間の他に、安眠用と書かれた早立ちの旅人向けの部屋もある。おれは当然そっちだ。 ◆ライダーのカップルのなかに、新婚旅行です、なんてのがいたな。ゆうべもどっかのライダーハウス泊だったとか。で大広間でごろ寝か。おれにゃ理解できん。 ◆10時過ぎ本気で降ってきた。RH緊急避難が口実でなくなった。助かったな。

[16日目]
8/11 根室〜納沙布岬〜浜中(霧多布岬キャンプ場)無料
    125.8km 1,992.4km

寒い朝だ。さすが道東だ。Tシャツ1枚じゃとても走れない。ライダーは革ジャンでも寒いといってる。おれは荷物軽量化のためウィンドブレーカーは持ってきてない。レインウエアの上だけ着る。納沙布岬まで20km、日本で一番早く顔を出す朝日を浴びながら走る。途中、チャリのギヤが噛んだ。おれの操作ミスだろうが、これでこの旅2度目だ。なんとか元に戻ったが、ちとあせったな。ジムニーのおっさんが突然停まり「今日の納沙布は最高だ。こんな天気はめったにない、ついてるな」と大声でおれにいう。北海道の人って、ほんとに旅人を身近に感じているようだ。優しい。たっぷり拝んできます、と答えて敬礼する。日本最東端、納沙布岬。ここに来ると北方領土を返せ!! という言葉が真実味を帯びてくる。手が届きそうなところに歯舞(はぼまい)群島や国後(くなしり)島が横たわっている。無数の漁船が魚場へ向かって競うようにつっ走って行く。こうロシア?が近いんでは、日露の漁業海域の問題だって難しいんだろうな。おれのような無手勝流チャリダーだって、この地に立つとへらへらしてられない気分になる。
◆北海道の輪郭をなぞるには、根室から国道を離れ、道道(どうどう)に乗り、落石(おちいし)から浜中町へ出るのが正しい。おれのこだわりである。道道は寂しい。落石から先、一体何kmくらいだろう、走ることほぼ半日、全く店がないのである。久しぶりにハンガーノックかと思ったぜ。 ◆大学のサークルだろうか、一列縦隊で整然と走る10台のチャリとすれ違う。みんなガッツポーズ、しんがりのリーダーだけが「がばってくださぁい」と声をかける。おれは若ぶってサンキュュウゥゥゥと答える。こういうワカゾーっていいじゃん。 ◆朝、あんなに天気がよかったのに降ってきた。この旅で、防寒用としてでなく本来の用途としてはじめてレインウエアの上下を着る。レインウエアとザックカバーの完全防備、足元は相変わらずのゴムゾーリ。なんか妙な格好だな。着込んで走り出したら、霧多布岬まで34kmの標識。ほんとかよぉ。この雨足ではキツイな。 ◆たっぷり30分、雨に叩かれた。で止んだ。よかった。寒かった。 ◆浜中町で小さなスーパーもどきに立ち寄る。コメはない。霧多布にコンビニがあるとの情報。ようやく救いの神セイコーマートを発見した。ところが、弁当の類いは一切売り切れ状態。店員に何時頃入荷するのか聞くと、店内で調理してるチャーハンがあと15分でできるという。アイスクリームを2個食いながら待つことにする。 ◆食料はたんまり用意できた。キャンプ場は無料の上、珍しくゴミの分別集積所まであるではないか。浜中町の街興し作戦バンザイ。

[17日目]
8/12 浜中〜厚岸〜釧路(民宿 銀鱗荘)1,000円
    115.0km 2,107.4km

霧多布岬は文字通り霧が多いことで知られる、が今朝はすっきりした青空だ。テントの濡れは最低限の夜露だけ。休憩の時にでも広げておけばすぐ乾く。Tシャツだけでは寒いので長袖シャツを追加する。これから、このスタイルが定番になるのかな。釧路へ向かう。厚岸(あっけし)で一度国道に戻るものの、ふたたび道道を辿ることにする。昨日といい今日といいアップダウンが厳しい。北海道の輪郭にこだわり過ぎかなぁと、ちと弱音をはく。地図によると主要道となってはいるが、交通量は国道とは比較にならない。ライダーもめっきり少なくなる。この辺りは北海道一周の隠れた難所かもしれない。特に昆布森(こんぶもり)という集落の前後が厳しかったな。もともとあった地形そのままにアスファルトを貼っただけのように思える。平坦な部分がほとんどない。急に登る、ゆるやかに登る、なんだかわからないがともかく登る。北大平洋シーサイドラインという名がつけられている。道南以上のアップダウン、間違いない。昆布森の2km手前で一気に下る。集落を過ぎるとまた4km一気に登る。ハードだぜ。
◆釧路には昼過ぎに着くが、今日は天気とは別の意味での緊急避難だ。もう着るものがない。洗濯をしなくっちゃ。で、民宿 銀鱗荘泊とする。 ◆ここのシステムはユニークだ。まず素泊まりが千円、おばちゃんに払う。洗濯機を使う、200円払う。乾燥機を使う200円払う。すべてこの調子だ。わかりやすくていい。 ◆ライダー3人と同じ部屋である。沼津のライダーがチャリに興味を示す。時々、こういう輩がいる。ライダー100人に一人くらい。ま、絶滅寸前の稀少動物だな。 ◆夜、4バッグ全てはずして街中へ飯を食いに出かける。この旅で空荷のチャリに乗るのははじめてだ。軽いなんてもんじゃない。軽すぎてハンドルがふらふらする。でも、これだったら知床峠越えもラクショーだな。負け惜しみである。 ◆釧路の繁華街は東京に似ている。なんか知ってる街を徘徊してるような気分だ。魚が旨いというし、貝類は大好物だ。が、チャリで旅してるとついつい肉に目がいってしまう。肉体労働者のサガか。でモォモォの鉄板焼きを選び、デザートにラーメンで締めくくる。ようやくチャリの燃料も満タンになった。

[18日目]
8/13 釧路〜浦幌〜大樹(晩成温泉キャンプ場)200円
    128.0km 2,235.5km

白糠(しらぬか)の道の駅で身だしなみチェック、ったって髭を剃るくらいだが。コンビニで行動食と天気予報を入手。いつものパターンである。なんだとぉ、雨だとぉ。今日は昼前からかなりの確立で雨の予報だと店員がいう。いきなりの雨にもあわてないよう先にザックカバーを付ける。うすらぼんやりした天気だから黄色いカバーは目立っていい、祈交通安全だ。幼稚園の黄色い帽子と一緒だな。30kmくらい走った時点で昨夜の沼津ライダーが追い付いた。「もう、こんな所まで来てるんだ。チャリってやるもんだな」という。馬鹿もん、チャリがやるんじゃなくて、おれがやってんだ!! ますますチャリに興味をもったようだ。狭小トンネル3カ所連続、との標識。まただ。真ん中のトンネルがひどかった。路面がアスファルトでなく石畳なのである。ツールドフランスじゃあるまいし、滑りそうで恐い。ポツリポツリ落ちてきた。天気予報がアタリだっったのか。昼前、やっぱハズレだな。これ以上は降らない。それどころか、午後になると青空が広がってきたぜ。
◆浦幌(うらほろ)の峠を越えた所でコンビニに寄る。2バッグを積んだ1台のチャリが停まっている。おれはとっとと食料を買い込みチャリに積み込んでいると、そのチャリの主が出てきた。話す。近くのキャンプ場からの出発らしい。お寝坊の若者らしく今日は9時半出発という。若いうちはいくらでも眠れるものなんだ。お互い同じキャンプ場をめざしている。若いんだから、そのうちおれに追い付くだろうといい、先に出発する。 ◆豊頃(とよころ)の峠を登りきった所で大休止。おれのクセだ。一度ダレて、この後、夕方までピッチが上がる。先ほどのワカゾー萩原くんが追い付いて来た。んじゃ、一緒に晩成温泉まで走るべえ。この温泉は6kmばかり国道を離れ海岸に出る。チャリダーにとって6kmも本来のコースを外れるのは痛手だがしょーがない。 ◆立派過ぎる施設群はクセモノだ。温泉があり、研修施設のようなものがあり、きれいなオートキャンプ場があり、海岸にやっとふつーのキャンプ場がある。砂地はヤだな。一番手前のちと情けない草地にテントを設営する。 ◆萩原くんと温泉に浸かり、テントに戻ると雨が降ってきた。天気予報がズレてるぜ。 ◆東京農大の網走校で学ぶ萩原くん。網走発の時計廻り北海道一周くんだ。チャリで帰郷(群馬まで)するか北海道を一周するか迷った末の結論がコレだという。いい個(子)だ。見上げたもんだ。 ◆萩原くんのテントがちと気になる。なんかシェルターというかツェルトというか、サイドとボトムが分割してるタイプだ、ありゃ激しい雨だと浸水するぞ。 ◆おれのテントのフライは今じゃ目止めシールが全部剥がれてしまっている。本降りになったらこっちも心配だな、などと考え、軽く飲んでたらそのまんま寝入ってしまった。

[19日目]
8/14 大樹〜えりも岬〜三石(道の駅ゲリラキャンプ)無料
    154.2km 2,389.6km

雨は止んでいた。フライからの雨漏りもなかったようだ。助かった。いよいよ広尾町から黄金道路がはじまる。金に糸目をつけず断崖を切り拓きトンネルや覆道を無数に建設したため、とんでもない建設総費用となり、黄金道路という名がついたといわれる。難所といわれる区間だ。気合いを入れて臨んだが、道南をやっつけたチャリダーにとって話ほどのもんじゃない。積丹のほうがよっぽど厳しいぜ。と、ピンチである。自転車と歩行者は完全通行止めという長さ3.2kmのトンネルに出くわす。このトンネルの噂は道北、道東で何人ものチャリダーから聞いて知ってはいたが、これだったか。このトンネルをどう抜けるかというと、地元のトラックをヒッチし乗せてもらうか、坑内点検監視車がパトロールでトンネルを往復する際乗せてもらうか、これしか手はないのだ。おれには時間がない、の一点張りで10分前に坑内パトから戻ったばかりの監視車を再パトに引っ張りだし、このややこしい区間を突破する。でも、おれの北海道一筆書きの旅で、3.2kmは自走していないという事実は残った。おれの怠慢によるものではないがちと悔しい。えりも岬の2km手前で顔見知りの沼津ライダーにまた会う。こいつの行動範囲はチャリ並みだな。えりも岬はドピーカン、最高だ。けど、あまりに観光地くさい俗な雰囲気なので草々に退散する。

◆大樹(たいき)町から走り出してわりとすぐ歴舟川を渡る。日本一の清流といわれているが当たり前だ。人の気配なんぞ全く感じられない。上流部でクマが顔を洗うぐらいのもんだろうから水が澄んでるに決まってる。カヌーツーリスト憧れの川だ。 ◆えりも岬を抜けて間もなく、苫小牧まで180kmの
標識。懐かしい地名だ。おれのゴールだ。今日はまだまだ走る。明日にもおれの旅は完結できるだろう。 ◆浦河(うらかわ)町で札幌の知人菅原さんに電話する。19日夕便のフェリーの仮予約がとれていたので、それまでの3日間札幌でチンタラし栄養補給だ。4kg体重が落ちてる。 ◆えりも町と様似(さまに)の間、たいした風でもないのに国道にまで波しぶきが上がってる。おれも軽くひと波浴びた。ちょいと海が荒れたら一体どういうことになるか、なぜこんな海に近い所に道路を作ったのか。 ◆三石(みついし)の寸前、風にあおられてチャリごとワイヤ製のガードレールにぶつかる。5m下は波が岩に体当たりをかましてる。転倒はごめんだ。転落は勘弁してくれい。 ◆今日の目的地である三石の道の駅5時30分着。150kmを越える走りとなった。ちと疲れた。 ◆キャンプ場申し込みをするがオートキャンプ優先で本日は満杯とのこと。この先にキャンプ場はない、のに。いかにもお役所的対応である。ならばと道の駅のはずれに黙々とテントを設営してしまう。超ゲリラキャンプである。おれを見ていたライダーたちもつられてテントを広げ出す。アッという間に8張りのプチテント村ができ上がる。駐車していた札幌ナンバーのキャンピングカーのご夫婦も「いいんだよ、いいんだよ、このくらい大目にみてもらわなくっちゃ」と完璧なチャリダー&ライダー応援体制。来た。萩原くんが到着した。6時30分、日が落ちる寸前だ。待ってたぜ。 萩原くんも素早くテントを張る。キャンピングカーから二人にタラバの脚2本の差し入れ。ゴール前祝いとするか。 ◆おれの旅も明日中には目的を達することができる。とりあえず重宝した0円マップを萩原くんに譲る。昨日ろくに話せないまま寝てしまったので、しばし歓談する。

[20日目]
8/15 三石〜新冠〜苫小牧
    115.8km 2,505.5km(北海道外周走行距離)
    苫小牧〜千歳(ちとせライダーハウス)1,000円
      29.5km 2,535.0km

今朝も寒い。おれの出発前、寝坊助の萩原くんが起きてきた。鵡川の道の駅で大休止することを告げ、彼の写真を撮ってスタートする。沙流川、そして鵡川の橋を渡る。この上流部に、その昔、おれがもちっと若かった頃、恐いもの知らずの無手勝流ダウンリバーを楽しんだ6段の瀬があり赤岩青巌峡がある。懐かしい。3年前にも訪れた馴染みの樹海苑もこの上流だ。東京から北海原人に拉致されたおばちゃんは今も元気だろうか。道央に入るにつれ暑くなり長袖シャツを脱ぐ。北海道は同じ季節でも地域によって寒暖の差があるようだな。鵡川の道の駅。苫小牧はもう手が届く所だ。ゴールはいただきだ。ゆったり、たっぷり、のぉんびりのハーフタイムである。やっぱ萩原くんが追い付いて来た。ハーフタイム延長である。これから道南を走る萩原くんに保安ベストも譲ろう。おれのゴールを見届けてくれないか、というと「自分も通過する所だから、いいっすよ」という。ゴールに見届け人がいるってのは嬉しいな。ちと雲ゆきが怪しい、さ行こう。
◆苫小牧に入った。黒い雲が上空を覆ってきた。逃げよう。この道路下に必ずトンネルがあるはずだ。セーフ!! ひと粒も雨に当たることなく工事用車両専用トンネルに避難できた。もはや動物的カンというか野性の血というかギラギラに研ぎすまされている。 ◆雷にはド肝を抜かれる。ゴロゴロドッカァァンが真横から響いてきた。 ◆小1時間ほどで雨もおとなしくなってきた。フェリーターミナルまでひとっ走り、と思ってたが苫小牧の街はだだっ広い。8kmくらいあったか。半濡れ状態でおれのスタート地点となったフェリーターミナルに入った。20日目のゴールだ。 記念の雄叫び写真を撮る。 ◆さ、どうするか。ここで天気予報を聞き、場合によってはターミナルで萩原くん共々ビバークを考えていたが、仮眠禁止の貼り紙があり断念する。 ◆室蘭街道に戻り、萩原くんと握手してお別れ。 ◆最後の3日間、決してべたべたではなく付かず離れず過ごしたワカゾー萩原くん。旅、あるいはチャリを重ねると世代を超えて話もできる。一期一会というけれど、おれはこのワカゾーとの再会をマジに願っている。
◆萩原くんは白老キャンプ場へ。おれは明日の札幌入りを考えて千歳のライダーハウスをめざす。本降りとなってきた。でも、レインウエアは上だけでつっ走る。ひとつの区切りがついた後だけに気分も軽い。 ◆ちとせライダーハウスに到着すると「わ、また会いましたね」とライダー。銀鱗荘で話した元自衛隊員くん。今日ゴールした、というと「おめでとうございます」と頭を下げられた。素直に嬉しい。 ◆夜、湯上がりライダーくん8人とライダーハウスのおばちゃんとで祝杯を挙げる。今日まで集中的に履いてた七分パンツは洗濯してもとても汚れがとれそうもないホームレス状態、ここできっぱりお役御免とする。

[21日目]
8/16 千歳〜札幌 真駒内(菅原氏工房)
    54.9km 2,589.9km

しとしと雨が降り続いている。朝から雨というのは北海道入りしてはじめてだ。つくづくおれはついてたと思う。朝コンビニに行き、食料だけでなくビールも買い込んできた。朝寝用の眠り薬だな。今日は午後出発でラクショーだ。雨が止むのを寝て待つとする。気楽なもんだ。ライダーが一人また一人と出発していく。おれは寝ぼけ口調でさよならを告げる。11時に目が覚めた。ぼちぼち走り出すとする。途中、ユニクロに立ち寄り、短パンを探すが北海道のユニクロに今どきそんなものは置いてない。中にはコートも陳列されてる。で長袖のドライTを調達。これは帰りのフェリー用だ。もう洗濯する気はない。
◆菅原さんに会うのは3年ぶり。相変わらずのキャラクターにホッとする。 ◆19日まで工房の床を拝借することになる。 ◆明日はメェメェを食うと決めている。夕食はモォモォを食う。ちとコンビニ弁当拒否症にかかってる。

[22日目]
8/17 真駒内〜札幌市内ポタリング(菅原氏工房)
    39.6km 2,629.6km 

大通り公園にやって来た。ここは勝手知ったる街だが一応確認のため臨時観光案内所に立ち寄りサッポロビール園への道を聞く。すぐわかった。おばちゃんが小声でいう。「ビールお飲みですか?」と。少々と答える。おれはペテン師だな。「最初に隣接した博物館に行きなさい。見学の後にビール試飲サービスがあるから。食事はその後ですよ」だと。もち実行した。できたてのビールはめっちゃ旨い。それを15分で3杯試飲(おれだけだったな)して、隣のビール園へ。ジンギスカン食べ放題コースである。身も心も満たされた。今日の親切?も含め、北海道中のおばちゃん、ありがとぉーーーー。 
◆札幌市内でコケた。サイドバックを右フロント1個付けて走っていたのだが、停めてあるチャリに引っかけ見事な転倒。油断するとこうだもんなぁ。ツーリーグ中でなくてよかったぜ。 ◆そういえば、大通り公園で大阪発の日本一周くんに会った。これで4人目だな。北海道はこれからだというので9月1週までに終わらせた方がいいと北の先輩(おれ)としてアドバイス。北海道は急に寒くなるぜ。

[23日目]
8/18 真駒内〜札幌市内ポタリング(菅原氏工房)
    52.0km 2,681.6km

札幌市内へ向かうのに、藻岩(もいわ)橋から豊平川サイクリングロードに乗る。自転車道と併行して歩道も設けられている。緑も多く、意図的にカーブも作られていて快適だ。多摩川サイクリングロードとはレベルが違うぜ。このロードを使えば札幌駅やすすき野へだって軽く行けるんだな、なるほど。北大の周辺を走る。チャリ乗りの桃源郷だ。中央卸売市場の場外まで足を伸ばして飯にする。観光客で賑わう二条市場よりはるかにスケールがでかい。北海道を締めくくるには何がいいか。寿司に決定。チャリ旅は走ることに集中してるし、クルマやバイクのように、ガイドブックに載ってるような店に飯どきに到着するなんてことは至難の業だ。今日はそれができる。
◆街中で札幌ラーメンの名店Tを発見。デザート代わりにやっつける。 ◆チャリで札幌をうろうろしていて思うこと。街はこのくらいのサイズがいいな。その気になれば、チャリでどこへでも行ける。東京がますます嫌いになる。恐くなる。遠くなる。

[24日目]
8/19 真駒内〜支笏湖〜苫小牧(商船三井フェリー)
    73.7km 2,755.3km(道内総走行距離)

苫小牧ゴール

3晩お世話になった菅原さんに昨夜お礼をいった。8時半、真駒内を出発し苫小牧をめざす。支笏湖まではけっこー登りもあるが、国道と併行した自転車専用道(滝野上野幌自転車道)だからストレスがない。この道を最後の最後に選んでほんとによかった。支笏湖への長い下りは知床峠の次くらいに気持ちがいい。50kmを超えるダウンヒルは当分体験できそうもないな。4回ほどすれ違うチャリダーとがんばれサインを交換する。これも今日が最後だ。登りはそう感じないが、下りになると汗が一気に冷えて肌寒い。長袖シャツでこれである。支笏湖を離れ、276号を辿り苫小牧へと向かう。またまた自転車専用道である。ここは国道のすぐ横を併走するのではなく、やや奥に入った感じで緑のトンネルを行く。

◆苫小牧フェリーターミナルで発券を待つ間、商船三井の係員がカウンター前面に注意書きのようなものを貼る。台風15号の影響で航海中の荒天が予想される、大洗到着が大幅に遅れることもある、とのこと。了解。台風から逃れるように北海道を後にすることになった。おれのチャリ旅は終わった。

PR

ゴムゾーリで漕いだ! 歩いた!
無手勝流チャリ旅
『北海道の輪郭をなぞる旅 』前編
04.7.27〜8.19(7/26出発 8/20帰着)

obj127_1.JPG

[1日目]
7/27 苫小牧〜登別〜室蘭(ライダーハウス白鳥の家)無料
    80.9km(当日走行距離)
13時半、チャリ2台、フェリーから一番先に降ろしてもらいスタート。苫小牧はすごい霧で視界最悪。もう一人のチャリダーおっさんは白老でキャンプというが、30kmそこそこしかない。これじゃ、いくらなんでも近すぎる。おれは行ける所まで走ってみようと決断し、室蘭街道に入って間もなくおっチャリダーに別れを告げる。この先、キャンプ場がないのは承知。いざとなったらゲリラキャンプ(キャンプ指定地以外でのテント泊)だ。どうにでもならあな。

◆フェリーの船倉でのこと、ライダーやドライバーたちがたくさん集まってきて2台のチャリを取り囲み「重いよ、こんなんで北海道を走んのかよ!」などと興味津々。おれたちが降りる時、なぜか一斉に拍手がわき起こった。いいスタートじゃん。 ◆霧の中、おれを追い抜いて行くクルマがあっという間に見えなくなる。こりゃヤバイとトンネルを想定して用意してきた保安ベストを着る。トンネル以外でも役に立つ。 ◆北海道の夏の名物、ライダーとチャリダーの間で交わすサインの交換がさっそくはじまる。バイクがチャリを追い抜きざまVサインやガッツポーズでチャリを励ます合図だ。チャリも当然それに応えて片手を挙げる。いいもんだ。フェリーで一緒だった3人のライダーもおれの真横で「がんばって」と大声で叫び、すっとんで行った。 ◆シューズは30分で脱いだ。スポーツサンダルも30分で脱いだ。ゴムゾーリが一番しっくりする。これで漕ぐとする。 ◆登別でセイコーマートの会員になる。北海道でコンビニといえばこれだ。とにかく安いし、どこにでもある。これから世話になりそうだ。 ◆50kmくらい走った頃、宿泊地をマジに考える。道端であぐらをかき地図を眺めていると、おばちゃんが声をかけてきた。「困ってるの?」んなに困っちゃいないがこの親切は嬉しい。北海道の人は旅人に慣れているからだろう。派出所とかアウトドア好きの若者のいるGSとかを教えてくれた  ◆GSで周辺状況を聞くが、このあたりはキャンプ場不毛地帯のようだ。ライダーハウスはあまり好みではないが、緊急時には避難するつもりでいた。初日から緊急事態だな。白老まで戻る気はさらさらない。となると室蘭まで行くっきゃない。 ◆ライダーハウス白鳥の家を探しながら走ったら80km走になった。たった半日なのに。 ◆怪し気なライダーハウスである。旅人というより、ここに住み着いている風のおっさん二人、やあやあとおれを迎えてくれた。こういうの苦手だな。どっかでゲリラキャンプをと思ったが、もう辺りは暗いし夜は大雨の予報だという。おまけに暑い。とりあえず泊まってみっか。無料だ。

[2日目]
7/28 室蘭〜伊達〜長万部(長万部公園キャンプ場)500円
    103.7km 184.6km(積算距離)
昨夜、だいぶ雨が降ったようだ。屋根をたたく雨音は覚えている。悪くない目覚めだ。6時スタート。雨は止んだが霧は昨日の苫小牧以上。真っ先に地球岬(正式にはチキウ岬というらしい)に向かう。いきなり3km、とんでもない登りだ。漕ぎきれない。押し押し。岬からは水平線が曲線(曲面)で見えるといわれるが、海どころか、ここに在るはずの灯台さえ見えない。最悪。昨日走った道を避け、イタンキ浜方面へ降りる。鳴る砂で有名な海岸だ。さて、本日のハイライトというか、チャリ乗りの難所といわれる礼文華(れぶんげ)峠が待ちうけている。

◆礼文華峠はアップダウンと同時にトンネルがやたら多い。当然、保安ベストを着たまま走行。で後からすぐにクルマが来ないのを見計らいダッシュする。この国道は苫小牧、室蘭と函館方面を結ぶ、いわゆる産業道路だ。クルマは途切れない。 ◆最悪のトンネルは登っている、曲がっている、(路面が)荒れている、である。さらに付け加えるなら所々灯りが切れている、である。この4悪条件がすべて備わっているトンネルが幾つもあった。 ◆豊浦あたりで飯をと思っていたが、店など全く見当たらない。あやうくハンガーノック。常に食料は2食分持つことを学んだ。 ◆長万部(おしゃまんべ)で名物といわれるカニメシを食い一息つくがたいしたもんではない。カニはカニの姿があってこそカニだ。 ◆長万部公園キャンプ場はきれい過ぎる。芝生はしっかり手入れされ、池には滝も落ちている。やり過ぎだ。だから500円か。自然のままでいい。 ◆テントはどこにでも張り放題。チャリダーは朝が早いので水場とトイレの近くにテントを設営する。やはり一国一城の主はいいな。 ◆おれがテントを張り終えると、一人のチャリダーがやって来た。どうやらおれとは逆廻りでの北海道一周さんらしい。礼文華峠を明日突破するのでおれに道路状況を聞きに来たのだ。保安ベストのことを話すと、同じものを買いに行くといって閉店直前のホームセンターへすっとんで行った。旅人(たびにん)さんはカッコじゃないよ。命あってのものだねだ。

[3日目]
7/29 長万部〜鹿部〜恵山(道の駅キャンプ場)350円
    144.3km 328.9km
5時少し前に起きて湯を沸かしていると、もう若いチャリダーのテントが撤収されている。そのうち顔を洗って戻ってくるや出発するという。まあまあとコーヒーをゴチする。おれも見習わなきゃ。今朝もすごい霧。でも涼しくて気持ちいいな。砂原(さわら)の道の駅で一服してると、見知らぬおっさんが寄って来た。昨日おれが豊浦の駐車帯で休んでいる時、同じ所にいたという。「チャリってすごいな、もうこんな所まで来てるんだ」としきりに感心する。「トンネルでは、あれは着てたほうがいいよ」保安ベストのことである。チャリダーはクルマが恐いが、クルマはチャリダーが見えにくく、やはり恐いという。保安ベストの効果が実証されたようだ。

◆恵山(えさん)の道の駅にはキャンプ場が併設されている。コンビニも目の前にある。文句なし(風呂が足りないけど)。テントの設営をどこにしようかときょろきょろしてると、一人の男が手を振っている。近くにチャリがある。チャリダーだったら情報交換だ。けど、少し様子が違う。ビデオカメラを回しているようだ。近付くと、「失礼しました」といいながら名刺を差し出してくる。自転車旅行の映像を集め、映画らしきものに仕立てるつもりという。個人(後でわかったことだが、40才のチャリ乗りで仕事はエロ映画の監督らしい)のライフワークのようだ。取材である。うっとおしいので、やや離れた所にテントを張るが、男は笑顔を振りまきながら、おれから離れない。 ◆おれのメーターをのぞき「144kmって今日の走行ですか、私は一日でこんなに走れない。まいったな」などとほざき、おれをノセにかかる。 ◆チャリの映画など、どうせマイナーもいいとこだとタカをくくり、昨夜口を開けたばかりのバーボンのハーフボトルを飲みながら男と話す。 ◆酔ってきた。「いまカメラ回ってますが、いいすか」と言われても、もうどーでもいいやという気になってくる。話した内容もほとんど覚えていない。もう1本バーボンを買いに行ったのは覚えているが。気がついたら、上半身をテントに突っ込んで寝ていた。

[4日目]
7/30 恵山〜函館〜知内(農村公園キャンプ場)無料
    98.6km 427.5km
撤収を終え顔を洗ってチャリに戻ると、昨夜の男が起きてきた。「正しいチャリダーですね、とても真似できない」などと今朝も調子いい。ともあれ5時過ぎスタート。15分ほど走ると若いチャリダーとすれ違う。そう、チャリダーの朝は早いのだ。8時頃、函館を通過。街中は走りずらいし、特に街に用はない。海沿いを淡々と進むが、昨日の144km走がきいたのか、宿酔いなのか、ちと脚が重い。いつもよりゆっくりペースで昼過ぎにようやく知内(しりうち)の道の駅に着く。走行距離はまだ100km未満、地図をよくよく読むがここから先しばらくキャンプ場がない。無料の農村公園キャンプ場に行きテントやフライ、シュラフをぱりっぱりに乾かし、昼寝でもしようと決める。道の駅の食堂で飯を食い、コンビニの場所を聞くがかなり遠いようだ。常に2食分の食料を持参するという食料調達の原則を忘れてた。ウエイトレスのおねーちゃんになんとかならないかと言うと、厨房へ入ってって調理人に聞いてみてくれた。おりぎりなら用意できるという。しめた。梅干しと辛味噌の入った2食分のおにぎりとおしんこセットで450円。旅人価格だろう。こんなに安くてほんとにいいのか。

◆キャンプ場にマットを敷き、レストランで調達したビールを飲んで昼寝してると、二人のチャリダーが到着していた。若いチャリダーがおれの走行ペースを聞くと、「おじさん、すげえっすね」と驚く。「おじさんの身体ってスポーツっすね」とわけのわからんこともいう。その後もおじさんおじさんを連呼しやがる。 ◆チャリダーの足元を見ると片方のスポーツサンダルの足首部分がちょん切れ、出来の悪いスリッパ状態である。あげくにゴムゾーリを買う余裕もないと泣きが入る。おれの荷台には初日に30分履いただけのシューズがくくりつけてある。これ履いてみろというとドンピシャ。やるよ、というと超満面の笑み。可愛いもんだ。おじさんおじさんを連発してくれたお礼である。

[5日目]
7/31 知内〜松前〜乙部(道の駅ゲリラキャンプ)無料
    128.1km 555.6km
そこそこの登りからはじまった。けっこーしぶとく登る。で福島町への下りが凄かった。3km以上続いたと思うが、がんがん下る。朝っばらから時速50km強のスピードを堪能する。おれのチャリには20kg程度の荷が積んであり、いったん加速すると速い速い。北海道最南端の白神岬で朝食。レストランで作ってもらったおにぎりはコンビニのよりはるかに旨いっ。トンネル地獄がまたはじまった。道南はトンネルが多いことは3年前にクルマで走ってわかっちゃいるが、アップダウンの激しさは予想以上だ。積丹を越えるまで続くのだろう。

◆松前の小さな峠を越えた所にパークゴルフ場があり、ここでボトル2本の水を補給。すると、向かいの蕎麦屋のおばちゃんがおれを呼ぶ。「麦茶を入れてきなさい」と言う。おれは喜んでそれをボトルに詰め替えてると今度は氷を持ってきた。嬉しいおまけだ。なんという親切。最高のエンジン冷却水だ。ありがとう。 ◆今日は風呂の日だ、誰が決めたわけでもないが。2日風呂に入っていない。温泉ではないが乙部(おとべ)町に銭湯があるという情報。探しながら到着すると、休業日だ。まいったなぁと思ってると、おっさんが出てきた。「風呂はぬるいけどシャワーなら出るよ。今日は暑いからおれも浴びよう。一緒に入るか?」風呂屋のオーナーである。だだっ広い銭湯におっさん二人。この世の極楽である。あげくに金はいらないとくる。 ◆続きがある。今夜はどこに泊まるのかと聞くので、道の駅でゲリラキャンプを張ると答えると、息子の名を呼ぶ。「このお方のチャリを軽トラの荷台に積んで、道の駅までひとっ走り行ってこい」というではないか。「最後の坂はキツイよ、せっかくの湯上がりに大汗かいちゃ可哀想だ」というのだ。一瞬、おれはその言葉に甘えようと思った。けど、あと6.5kmとはいえ、ここで軽トラに便乗したら、おれの『北海道の輪郭をなぞる旅』が歯っ欠けになる。一生懸命それを説明し銭湯を後にした。ちと泣いたね、嬉しくてさ。 ◆キャンプ場が併設されてない道の駅でのゲリラキャンプには暗黙のルールがある。それは、道の駅の営業?が済んだ後、他の利用者の邪魔にならない場所にテントを設営するというものだ。 ◆腰が痛い。はじめはそう思っていた。道の駅にはまだ従業員がいる。チャリの横に寝転んでいると、いろんな人がチャリ旅の話を聞きにやって来る。つくり笑顔で答えていたが、そのうち苦痛になってチャリから離れた所でひっくり返っていた。 ◆テントの設営を終える頃、痛いのは腰でなく腹だと気付く。今日はすっごく暑くて休憩ごとに北海道限定ガラナなる炭酸飲料のリットル壜を何本も飲んだ、麦茶もごくごく飲んだ、リンゴも2個丸かじりした。腹が痛くなって当然だ。腹を抱えエビのように身体を折り曲げて痛みをこらえる。薬は正露丸きゃない。飲む。ひどい汗でほぼ1時間ごとに目が覚める。死ぬかと思った。夜中の1時半までそれが続いた。 ◆いいこと、悪いことが一日に集中した感じ。でも、おれのチャリ旅はあえなく今日で終わりかと思ったぜ。

[6日目]
8/1  乙部〜北檜山〜島牧(千走橋下ゲリラキャンプ)無料
     110.6km  666.2km
腹痛はおさまっていた。それどころか腹が減っている。昨夜の夕食用の飯を難民食いする。撤収もいつも通りテキパキ。奇跡だ。タフなもんだぜ、おれって。6時前、出発しようとしたら雨。20分ほどで上がったのでエイヤッとスタートする。いつものおれだ。いつもの脚だ。ホッとしたね。大成の道の駅で一服。ビッグバイクがおれの隣に停まる。今朝、函館に上陸し走ってきたという青年。北九州ナンバーだ。チャリとはフットワークが違う。旅先でチャリダーとの接触ははじめてといい、おれのチャリを隅々まで見てる。北海道に上陸してはじめて話す旅人がおれらしく初々しい。日本百名山を登り続けているという。北海道にはあとひとつ未踏の山が残っており、それを登るのが主目的という。いろんな奴がいるぜ。おれも昔は山屋だった。共通の話題もあり軽く盛り上がったな。

◆大成町から北檜山町まで、海岸沿いの道が途切れている。内陸の山道を行く。北檜山まで、だらだらだらだら5kmに渡ってひたすら登る。辛い。 ◆峠のてっぺんには必ずトンネルがある。そっから下りだ。今日まで道南を走ってそれはわかっていた。おれがトンネルを抜けると、対向車線にチャリ。手を挙げている。例のがんばれサインとは様子が違う。近付くと女性チャリダーやんか。珍しい。疲労困ぱいの顔で「まだ登らされますか」という。このトンネルを抜けたら丸々5km下りっぱなしだ、イケイケだ、と教えると一気に顔が咲いた。で「がんばりまっしょー」だって。いいな青春。こっからはおれも下る。おれだって嬉しい。 ◆昨日から気付いていたんだが、なぜかおれと抜きつ抜かれつする原チャリがいる。リトルカブ(スーパーカブの弟分)で旅するワカゾーだ。島牧への海岸に停車中のカブに出くわす。どうしたと聞くと、ほんの10分ほどカブを離れたら袋に詰めといた米がカラスに食い荒らされたといい、きれいな米だけをかき集めていた。大阪芸大の放送学科の学生。チャリと競り合うくらいのスピードがいい。面白い旅をしてるな。 ◆おれは今日は島牧をめざすといったら、学生くんもそこで作戦タイムだという。 ◆彼から遅れること10分そこそこ、チャリの速さにびっくりしてる。 ◆島牧の道の駅には名物レストランがあることは知っていた。水槽から好みの貝(生きてるんだぜ)を選び、テーブルで勝手に焼いて食べるというシステム。でっかいホタテ130円、でっかい夏ガキ150円、でっかいホッキ250円という破格料金。学生くんは1200円で腹いっぱい、おれは生ビール2杯と貝をめいっぱい食い2000円くらいか。旨さ爆発である。最高のディナーだ。ここで彼とはお別れ、内陸のキャンプ場をめざすという。 ◆おれはこの道の駅でゲリラキャンプを企んでいたが、腹いっぱいになると横になりたくなる。営業終了まで待てない。 ◆周辺をぐるっと偵察。道の駅脇の千走橋(ちはせばし)下は50張りぐらいのテントが張れそうな平地になっている。決定。ここにテントを設営し横になる。快適。ラジオの天気予報を聞こうとするがNHKがうまく入らない。しかし、ロシア語と朝鮮語の放送はよく聞こえる。北海道の僻地にいるんだな。

[7日目]
8/2  島牧〜寿都〜積丹(道営野塚野営場)無料
     143.5km 809.8km
昨晩、ヘッドランプの球が切れた。テントのフライも目止めシールが剥がれてきた。洗濯物もだいぶ溜っている。というか、パンツはもう後がない。どうしたもんか。岩内(いわない)の街はそこそこ大きいというので期待していた。岩内への途中、4kmに及ぶトンネルが連続する。この長さだとダッシュもきかない。緊張の連続。トンネルを抜けると岩内であった。あったぜ、電信柱にコインランドリーへの矢印。今現在はいてるパンツまで脱ぎ短パンいっちょで洗濯機を回す。同じ店内にある雑貨屋のおばちゃんが笑ってる。乾燥までして全身さっぱり。今度はヘッドランプをなんとかしなきゃ。道端で電気屋の場所を聞いてると、誰かが肩を叩く。昨日、大成で出会ったライダーの安成くん。また会った。彼はここでバイクのオイル交換だという。名物のニシン定食でも食おうと彼を誘う。

◆2kmほど内陸に入り、ホームセンターでLED1灯のヘッドランプを980円で購入、古いランプは捨てた。目止めシールの剥がれたフライはだましだまし使うとする。 ◆それにしてもトンネルが多い。1km2kmは当たり前、3km4kmというとトンネルダッシュもきかず、しんどい。けど、トンネル内では必死で脚を回す。全部のトンネルの長さを知りたいもんだ。おれが全力漕ぎした距離がわかるってもんだ。 ◆神恵内(かもえない)の青少年旅行村でキャンプと思っていた。風呂も近くにある。料金を聞くと、テント1張り500円プラス入村料が600円だという。いうに事かいて入村料とはなんだ。ざけんな。こんな金をおめおめ支払っては北海道のチャリダーのメンツがたたぬ。無料に慣れちまってるからな。で風呂上がりに再走行開始。日が落ちるまでに積丹(しゃこたん)まで届くか。 ◆6時ちょい前に野塚野営場に着いた。やった。砂地でのキャンプはまっぴら御免。道路寄りに草地を見つけテント設営。一人旅のライダーくんが「隣いいですか」とやって来た。彼も砂地のキャンプはヤだという。 ◆そのうち、ちょい離れた所にテントを張っていたライダーが明日の天気(予報)を知らせに来た。大荒れの天気のようだから今日中に食料を確保しておいたほうがいい。自分たちは停滞を決めたという。 ◆ライダー、チャリダー間のこういった情報交換は嬉しいが、途中おれは通りすがりの漁師に明日の天気を聞いている。「なあに、降らねぇよ」という漁師の言葉を信じたいが、一応フライの張り綱を補強して寝た。 ◆北海道の外周を走りだして1週間、途中の休憩時に要領よくフライを乾かしたり、漁師から明日の天気情報を聞き出したり、また距離に対する度胸が据わってきたというか、なんかいっちょ前のチャリダーになってきたような気がするな。

[8日目]
8/3  積丹〜小樽〜石狩(ライダーハウスKAZE)無料
     117.3km 927.0km
雨は降ってない。青空ものぞいている。天気予報は漁師に聞け、である。チャリダーの朝はシンプルだ。天気をみる。チャリの空気をみる。で行動する。まるで動物だな。さ走ろう。ところが、どっこい。積丹を過ぎ、余市へ向かう登りで雨が落ちてきた。ほんの数歩だけトンネルに入り雨宿りだ。長いトンネルを抜けると雨が上がっている。また降る。そんな繰り返しであるが、本気で降るようではない。レインコートも着ないまま、余市の道の駅に到着。水を補給。札幌の知人菅原さんに電話する。この旅のことは出発前にメールで伝えてある。懐かしい声「札幌に寄らないの?」といわれるが、ここで菅原さんの顔を見たら里心がつく。連泊でもしようものならなおさらである。今回は旅を優先する。旅が終わった時点で連絡すると伝える。

◆小樽は坂の街、というがひどい登りだった。チャリダー泣かせのだらだら登りが3kmくらい平気で続く。下りは気持ちいいがアッという間だ。ま、近頃、登り坂を見てもひびらなくなったな。こんなの気にしてたら北海道は走れない。毎日のことだからな、でも。 ◆小樽から銭函(ぜにばこ:すごい地名があったもんだ)へも登る登る。でもって下る下る。ハードな区間だ。 ◆北海道のチャリ旅で一番恐れていたのは風だ。障害物がなにもない所で向かい風にあったらえらいこっちゃ。今そのえらいこっちゃがはじまった。石狩湾からの風をまともに受ける。漕ごうが押そうがチャリは進まない。 ◆『えっさ、えっさ、えっさほいさっさ、おやじのチャリ乗り、ほいさっさ、峠七坂きつい道、振りわけ荷物ぶらさげて、それ、やっとこどっこい、ほいさっさ、ほーいほいほい、ほいさっさ』童謡おサルのかご屋がいつしかおれのテーマソングになった。 ◆石狩浜キャンプ場に着くとすごい光景に出くわした。海水浴客のテントが風でみっつよっつ海の方へぶっ飛ばされている。なんじゃこれぇぇぇ、である。駐車場の整理員に木が植わっている場所を聞くが、ここには砂浜っきゃないという。 ◆今日はこれ以上は進めない。だだっ広い駐車場を移動し、少しでも条件のいいテント場を探す。浜の右外れまで行くと、ちゃっこいログハウス風の建物がふたつあり、ライダーハウスKAZEとの看板。風の日にKAZEとは話が出来過ぎだが中をのぞいてみる。ライダー2名、泊れるかと聞くと管理人もおらず無料だという。おれはライダーハウスをあまりアテにしていなかったので、ここはチェックからもれていた。決まり、緊急避難だ。 ◆近くに番屋の湯といういい温泉があり、飯と風呂をいっただきますだ。 ◆ミニハウスに髭剃りとデジカメを充電セットし、チャリのサイドバック2つを外し食料調達に出かける。チャリってこんなに軽いんだ、と改めて驚く。◆ライダーが3人に増えてる。ちと狭い。隣のミニハウスの入り口には女性ライダー優先とある。まだ誰もいないようなので、普通ライダーは何時頃まで行動するんだ、と彼らに聞くと「6時過ぎたら走りたくないっす」との返事。もう6時をとうに過ぎてる。だったらおれは隣へ行く。もし女性ライダーが来てもおっさんなら罪がないだろ。若い諸君らがいたら問題だが。我ながら、なかなか見事な屁理屈だ。かくして、ミニハウス一棟を独占して熟睡である。

[9日目]
8/4  石狩〜浜益〜留萌(黄金岬キャンプ場)無料
     122.5km 1,049.6km
朝7時過ぎ、35kmくらい走った時点で腹が減ってきた。おれはいつもこうだ。この程度の距離は文字通り朝飯前にやっつける。これがワカゾーとの距離の違いになる。ぜんぜん辛くなんかない、いい習慣だ。厚田村の夕日の丘公園(朝日がきれいな)で朝飯だ。一人のチャリダーがテントを撤収してる。話すと、千葉スタートで日本一周中の20才の青年、久保田くん。今日は留萌(るもい)までかせぐという。おれと同じだ。今朝おれは石狩からだというと、「まいりましたと」いう。おれより30km短い走行予定だ。またどっかで会うだろう。昨日までに比べちっとは道路状況がいいはずだ。おれは今日そうシャカリキにならなくていい。

◆ミステリーゾーンに遭遇する。どう見ても下っている道なのだが、登りなのである。はじめ、おれはブレーキシューがリムにくっついたまま固まったと思い、チャリを降りて前後ブレーキを点検したもんだ。さんざんの登りをやっつけた後だからそう思うのか。ほんとヘンだ。久保田くんが追い付いてきた。二人で道端に腰を降ろし、対向車線の縁石を眺めるが彼も「下ってますよね」という。ええい、くそ、登りゃいいんだろ登りゃ。 ◆途中、与太話の最中、風呂の話題になった。久保田くんはちと風呂にご無沙汰のようだ。何日ぐらいだと聞くと「家を出てから、今日でちょうど30日目です」という。ぎぇぇぇぇである。このクソ暑いのに。おれは突然おとうさんになる。馬鹿もん、今日おれが風呂に入れてやる。地図を見るが今日の走行区間には温泉がない。銭湯もない。明日、天塩まで距離をかせぐんなら鏡沼キャンプ場に来い。ここで温泉をゴチする。そう約束する。ったく。 ◆久保田くんは留萌のみつばちハウスARFに宿泊するという。ここは蒲団が用意されてることで有名なライダーハウスだ。たまにはいいだろう。おれはキャンプの方が気楽なので予定通り黄金岬キャンプ場泊とする。 ◆単独チャリダー同士は、どんなに気が合っても行動中は一緒に走らない。お互いの走行ペースがあり、それを尊重するからである。休憩時なら歓談もするし情報交換もする。自立してる者同士。なかなかの習慣だと思う。 ◆今日のトンネル地獄は横綱級である。トンネルの中で対向車の通過を10分ほど待たされるという体験もはじめて。 ◆久保田くんはおれの200mくらい後方を走っていたと思う。おれたちを追い抜いた(であろう)白いワゴンが前方に停まり、おれがそこを通過する時、おばちゃんが「暑いけどがんばって」とお茶のペットボトルを差し出す。もちろん久保田くんにも1本。きちんとしたお礼をいう間もなく、おばちゃんは手を振りながら行っちゃった。久保田くんは「こんなことってあるもんなんですねぇ」と狐につままれた表情。チャリにくっ付けたボトルのぬるい水に比べたら、冷たいお茶は甘露である。二人とも一気飲みである。 ◆黄金岬に近付き、海の家のおばちゃんにキャンプ場の場所をたずねる。ついでに履きっぱなしのゴムゾーリの予備を仕入れる。400円。ポケットから小銭を総動員すると374円出てきた。足りないので財布から1000円札を出すと、おばちゃんは「それでいいよ」と370円だけ受け取る。「いい旅しなさいね」だって。このせちがらい世の中で北海道には奇跡が多すぎる。 ◆北海道へ来てはじめてチャリのメンテをする。明日からも元気に走れ。 ◆黄金岬では日本一きれいな夕日が見られるという。で黄金岬。ま、北海道の日本海側ではどこでも見事な夕日が拝めるのだが。日が落ちる頃、夕景でも撮ろうとカメラを持って立ち上がると、4人のギャルが「おじさん、チャリでどっから来たの」と聞く。苫小牧からだというと、気絶しそうなフリをする。ぽつりぽつり話をしてると、みんな拓殖短大保育科の19才、なかなかの美形揃いである。けっこー話をしたな。父親はみんなおれより歳が若いって話。おれはどっから見てもまともにゃ見えないって話。普通に話せるおじさん(おれ)はチョー珍しいって話。ポーイフレンドは頼りないって話。今日4人揃って4人のおじさんにナンパされた話。そのおじさんって幾つくらいだと聞くと28か29か30才くらいかな、だと。んじゃ、おれはご先祖様か。 ◆8時半を回った頃「おじさーん起きてるぅ」ときたもんだ。さっきのギャルたちである。おれはすっかりオモチャにされてる。「一緒に写真撮ろおぉぉぉ」だと。あたりは真っ暗だ。そいつらの持ってる紙箱カメラじゃ話にならん。じゃ、おまえさんたちを忘れないように、おれのデジカメで撮ろう。おれも脳天気なもんである。(その写真はおれのデジカメに確かに記録されている。あいつら北の牝キツネじゃなかったようだ)

[10日目]
8/5  留萌〜羽幌〜天塩(鏡沼海浜公園キャンプ場)無料
     127.8km 1,177.4km
ゆうべはかなり涼しかったので爆睡した。チャリ旅10日目ともなると恐いもの無しである。霧などチリほど気にしなくなる。苫前(とままえ)に入る頃、すごい霧、それが小雨に変わる、また止む。羽幌(はぼろ)、初山別(しょさんべつ)あたりはかなり路面が濡れている。さっきまで本気で降ってたようだ。ラッキ。久々に涼しい感覚を味わう。道北の空気である。トンネル地獄からは完全に解放された。ところで、おれの旅だがけっこー距離がいけてる。急いでいるわけでもなんでもないが、とにかく走れるのだ。次の村、次の道の駅、目の前のコーナーの先、未知との出会いがおれの五感を刺激しまくり走るのが楽しくってしょうがない。多摩川サイクリングロードではこうはいかないな。しかし、走り方にはおれのクセがあるようだ。朝飯前の走行は絶好調、昼くらいにおおいにダレる、3時を過ぎるとこのままいつまでも走れそうな感じになってくる。だから、今日までよれよれになってキャンプ場到着なんてことはない。長距離走の基本ができてきたようだ。いいぞいいぞ。

◆遠別(えんべつ)に入った頃から急に眠くなる。脚を回しているのにだ。こんな体験ははじめてだな。トンネルが無くなると緊張感が薄れ、そのせいだろうか。睡眠はたっぷりのはずだ。駐車帯の縁石に横になったら20分ばかりほんとに寝てしまい、肌寒さで目が覚めた。 ◆外人の女性チャリダー4人。例のがんばれサインは北海道で覚えたのだろう。揃って恥ずかしそうにVサイン、いい感じだ。おれはガッツポーズでそれに応える。 ◆いるとは聞いていたが、ほんとにいた。ママチャリで旅するワカゾー。前カゴに荷物をてんこ盛り。後ろの荷台はこてんこてん盛りである。でも決して苦しそうな顔なんかしていない。ニコニコ顔だ。こんな青春もある。カタログ文化に毒されたシティあんちゃんなんかより100倍好感がもてるな。 ◆天塩まであと一息。遠別の道の駅で長い休憩をとる。と一人のチャリダー。スポルティーフにわりと小さな荷物。素朴な東北訛り、でも岡山の大学生だという。稚内の友人をたずね帰りは飛行機なので輪行するという。 ◆青いチャリに乗る日本一周くんのことを聞くと、もうすぐ来ますよ、とのこと。久保田くんをここで待つ。 ◆短い距離なので天塩まで3台一緒に走る。珍しい光景だな。 ◆鏡沼海浜公園キャンプ場は、おれが知るかぎり一番充実してるキャンプ場だ。使い放題の洗濯機は炊事棟に2台置いてあるし、シャワー棟もある、トイレは水洗だ。で無料である。温泉もすぐ側にあり、久保田くんの31日ぶりの入浴を待っている。むふ。 ◆北海道に多い茶褐色のいい湯だ。おれは早風呂なので20分ほどで風呂を出て、休憩室でビールをくらう。ロング缶4本くらう。1時間半後、久保田くんが別人のように爽やかになって現れた。2度くらい身体を洗っても石鹸の泡がたたないんですという。きったねぇ。4度ほど身体を洗ったという。 ◆テント前で3人でだべってると、おいおい寒いじゃないか。他のキャンパーを見るとフリースを着てる人もいる。道北にいるんだ。
半日もしくは1日以上のサイクルツーリングにご参加の方には、

無料
で自転車をメンテナンスします。

当店以外でご購入の自転車でもOKです。

*自転車の状態により、工賃が発生する場合もあります。その場合はご相談。

条件 ツーリング実施日2日前の平日までにご来店下さい。
(土曜日なら木曜日、祝日を除く)

メンテナンス内容
ネジのゆるみ確認
ブレーキ、シフト調整。
タイヤ空気圧確認
など

当店でご購入の自転車は、さらに…


自転車の状態により、必要であれば、
振れ取り調整、ハブ玉押し調整、グリスアップ、チェーンクリーニング、消耗パーツの交換(パーツ台は実費)など全て無料です。
ツーリング後に自転車が不調になった場合も無料で点検します。
パーツの破損などによる交換は実費にて修理します。
もちろん、当店のツーリング以外でも個人で走った際の不調も全て無料で点検しますよ!
なるべく、こまめに見せてくださいね。

無理な事は?

長期間、メンテナンスされていない自転車は当店で購入された物でも調整、修理できないものもあります。
当店で購入された自転車は基本的に無料なので、なるべくこまめに見せてください。

基本は…

いつも乗る前に走行前点検をして、走り終わったら毎回メンテすることですね。
忙しくて時間が取れない方、初級者でメンテナンス方法がわからない方はお気軽にご相談下さい。

1.パンク修理とチューブ交換
2.ケミカル使用法(バイク洗浄、チェーンクリーニング、ワイヤークリーニング)
3.輪行バックの使い方、自転車の分解(タイヤ、ペダルの外し方など)

4.チューブラータイヤの張り方、外し方、パンク修理の方法
(使用するタイヤは当店でご購入下さい。)

事前にご予約上ご参加下さい。参加費無料。日程時間随時。
場所 ウッドハートスポーツ店内。
1.と3.はご自分の自転車(スポーツ車)をお持ち下さい。当店以外で購入された自転車でも構いません。
1日にお一人様1種目1回まで繰り返しのご参加はご遠慮下さい。

有料講習会

1.ホイル組講習 ¥5,000+工具¥12,000〜
2.振れ取り講習 ¥2,000+工具¥12,000〜
3.ハブグリスアップ&玉押し調整講習 ¥4,000
4.ディレーラー調整 ¥2,000 アジャスターボルトの調整方法を覚えられます。
5.自転車組み立て講習 ¥20,000

事前にご予約上ご参加下さい。日程時間随時。
場所 ウッドハートスポーツ店内。

グリスアップと振れ取りのススメ

グリスアップと振れ取りという言葉はご存じでしょうか?
知らない方も多いかと思いますが、自転車を長持ちさせる為には必要不可欠なメンテナンスです。

自転車にはハブ(車軸)、BB(クランクの軸)、ヘッド(ハンドルの軸)部分にベアリングと呼ばれるパーツが使われています。
ベアリング(回転させる為の金属のボール)には必ずグリス(油の一種)が塗られています。
グリスは自転車に乗っていると自然と落ちて無くなったり、汚れてしまいます。
グリスが無くなった状態で使用を続けるとベアリングが破損することがあります。
ベアリングだけでなく器側に傷が付くこともあります。
場合によっては破損したベアリング破片がベアリング間に噛んで、ロックされることもあります。

ハブ玉押しを外します。
P1020275
  グリスはほとんどありません
P1020277
  ベアリングを除くと変色したグリスが固着しています。
P1020280
  固着したグリスをパーツクリーナーで掃除します

P1020282
  グリスアップ完了。左から2番目と比較してください。
P1020285



使用状況にも寄りますがグリスアップは最低、1年程度で1度は行うことをオススメします。
走行距離は2,000キロ〜3,000キロを目安にしてください。
雨天時の走行が多い方はもう少し早めがいいでしょう。

中にはBBなどはシールドベアリングと言って、密封式になっていて、メンテナンスフリーになっているものもあります。
シールドベアリングの場合は使用状況に応じて、ガタが出てきたら交換する事になります。

グリスアップ料金 1カ所¥2,000

振れ取り
ホイールを形成しているスポークはネジになっていて、ゆるめたり締め付けたりすることで1本1本の長さを調整します。
1本1本の長さを調整することでリムを正円に近づけ、左右の振れを無くして、なめらかな回転をする様に調整します。
この調整をしていないと、縦に振れたり横に振れたりします。
縦振れは乗り心地が悪くなり、抵抗が増えるので、スピードが出にくくなります。
横振れはブレーキとリムが干渉するようになり、ブレーキのききが悪くなったり、干渉の抵抗でスピードが出にくくなります。
放っておくと、スポークの破損を招き、事故に繋がることも有ります。
振れ取りは状態により作業時間が大きく異なりますので、作業時間を目安に料金が変わります。

振れ取り料金 1本¥2,000〜 平均約¥3,000程度の場合が多い様です。

オーバーホールプランの場合 シフト調整やブレーキ調整もサービスで行います。

当ショップから遠方の方で、近くにショップが無い方には宅配便を使って、
ホイルを送って頂ければ、ハブのグリスアップと振れ取りサービスをさせて頂きます。
1本5千円(送料込み)
当店までの送料はご負担下さい。
配送中のトラブルによる破損は当店では一切の責任を負えませんので、
必ず宅配便の保険に加入下さい。

カレンダー
06 2025/07 08
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
メインホームページ
ご案内
ショップご案内
MAP
過去のアルバムはこちらです。
最新コメント
[12/25 むらっっちゃん]
[10/21 むらっちゃん]
[10/20 i-drive 4]
最新トラックバック
バーコード
ブログ内検索
アクセス解析

Copyright © [ ウッドハートスポーツ - 自転車とカヌーの世界を広げる ] All rights reserved.
Special Template : シンプルなブログテンプレートなら - Design up blog
Special Thanks : 忍者ブログ
Commercial message : [PR]